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小型・薄型・大容量・低ESRを実現するタンタルコンデンサ技術
(下面電極構造樹脂モールド形導電性高分子タンタルコンデンサTNFシリーズの技術)

はじめに

モバイル機器、デジタル家電、車載エレクトロニクスでは小型・薄型化や高機能・多機能化が飛躍的に進展しており、搭載される部品にも小型・薄型・高機能化が求められている。
タンタルコンデンサは、アルミ電解コンデンサや積層セラミックコンデンサと比較して、単位体積あたりの静電容量が大きく、環境温度や負荷電圧に対する容量変化が少なく安定した性能が得られるため、小型・薄型・高機能化への対応が可能である。
本稿では、さらなるタンタルコンデンサの小型・薄型・大容量・低ESR化の実現のために開発した下面電極構造樹脂モールド形導電性高分子タンタルコンデンサTNFシリーズを紹介する。

TNFシリーズの開発

小型・大容量化へ取組み
下面電極構造樹脂モールド形タンタルコンデンサの構造と技術

図1に下面電極構造樹脂モールド形タンタルコンデンサの基本構造を示す。従来はリードフレームによって電極をモールド外部に引き出す構造のため、収納されるコンデンサ素子の大きさが制約されていた。電極引き出しを最小限にした下面電極構造では、コンデンサ素子の収納効率を従来比で150〜200%に向上させることができるため大容量化が可能となる。またフィレット形状を抑制できるためコンデンサ実装面積を大幅削減(約40%)でき高密度実装に対応した構造となっている。(図2)

図1 汎用タンタルコンデンサと
下面電極タンタルコンデンサの基本構造比較例

下面電極構造における技術課題は、コンデンサ素子の陽極リード(タンタル線)と引き出し電極との点接合およびコンデンサ素子本体と電極との面接合にあるが、当社では高精度・高信頼性の微小部接合を実現した。特に陽極電極部では、微細な盛り上げ加工を施した従来にない立体的な3次元構造とすることで信頼性の高い接合を得た。

図2 実装面積比較例
(1608サイズ1.6mm×0.8mm×0.85mm)

高静電容量タンタル粉末

TNFシリーズでは、比表面積の高い超微細化タンタル粉末による小型大容量化技術を適用している。現在、超微細タンタル粉末材料のBET比表面積は約2.3〜3.2m²/gあり、ここ数年間で約2〜3倍の表面積まで広がった。当社では、タンタル粉末の性能を十分に引き出すタンタル多孔体形成技術をさらに進化させ、高信頼性のコンデンサ素子をTNFシリーズに適用している。
下面電極構造と高静電容量タンタル材料を適用する小型大容量への取組みによって、この2〜3年間で収納効率を従来比で200%まで向上させ、実静電容量は約500%にも向上することができた。

低ESR化への対応
導電性高分子材料の適用

タンタルコンデンサ素子は超微細な細孔構造を有するため、小型大容量が得られる反面、陰極部が複雑な分布回路を形成しコンデンサの等価直列抵抗ESRが大きくなる傾向にある。
このため、コンデンサの陰極材料に低抵抗の導電性高分子材料を採用した。当社では小型素子に適用しやすく量産性にも優れる化学酸化重合で導電性高分子を形成している。原料母液組成、重合条件、細孔内に形成された導電性高分子の高純度化等の技術開発を行った結果、従来タンタルコンデンサの内部電極材料に用いられている二酸化マンガンよりも1000分の1の低抵抗率を実現し(図3)、ESRを大幅に低減することが可能となった。

3図 内部陰極材料の抵抗率

図4にTNFシリーズの周波数特性を示す。汎用タンタルコンデンサに比べて広い周波数領域で大幅にESRを低減することが可能となった。静電容量が低下する周波数は(Cr×ESR)1/2に反比例するため、低いESR特性を有するTNFシリーズは、高い周波数領域でも安定した静電容量範囲が得られる。

ESR(equivalent series resistance):等価直列抵抗
ESL(equivalent series inductance):等価直列インダクタンス
Cr:定格静電容量

図4 静電容量とESRの周波数特性例

TNFシリーズの特長

TNFシリーズは小型・薄型・大容量・低ESRを実現するタンタルコンデンサである。以下にその特長をまとめる。

(1)小型
1608サイズ(LMケース)、2012サイズ(LPケース)、3216サイズ(LAケース)をラインナップ化。下面電極構造により、基板実装時のはんだフィレットを抑制し、高密度実装が可能

(2)薄型
製品高さ0.95mmMax(LMケース0.85mm)の薄型化を実現しており、基板実装高さ1.0mmMax設計が可能

(3)大容量
LAケースで100μFまでの大容量化を実現
(*詳細図5を参照)

(4)低ESR
LAケースで200mΩ(at 100kHz)を実現

(5)低ESL
導電性高分子を内部電極としシンプルな下面電極構造 を用いたTNFシリーズは、汎用タンタルコンデンサに くらべて、約50%ESL低減

(6)安定した静電容量
環境温度に対して約500ppm/℃の変化量でバイアス電圧 に対する変化もなく、セラミックコンデンサに比べて 環境条件や使用条件において広く安定した容量を有する ため、ノイズ除去に優れる

(7)難燃性
導電性高分子形タンタルコンデンサは万が一の短絡故障時にも焼損に至りにくいために、低インピーダンス回路用途のみならず、安全性・高信頼性の側面からも見直されている

(8)その他
複数個のコンデンサを使用していた回路の部品点数を減らすことが可能となる。また生産工程の見直しにより廃棄材料を削減しRoHS指令にも準拠し環境に優しい製品設計となっている

図5 定格範囲と製品寸法

まとめ

下面電極構造樹脂モールド形導電性高分子タンタルコンデンサTNFシリーズは、電子機器の小型・薄型化や高機能・多機能化に対応できる数多くの特長を持っており、業界をリードする製品である。今後もさらなる小型・薄型・大容量・低ESRを進め、お客様のニーズに合わせたコンデンサ性能と環境規制や安全性にも配慮した商品開発を進めていく。

日立エーアイシー株式会社
コンデンサ事業部 三春工場
設計部 佐藤 健

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コンデンサ事業部 コンデンサ営業部
電話 03-3492-6812

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